自閉症の僕が跳びはねる理由レビュー~不感症な現代人

今日は、東田直樹さんが13歳の時に執筆された「自閉症の僕が跳びはねる理由」という本のレビューをしようと思います。

著者の東田直樹さんは自閉症と言う障害を持った男性です。東田さんのオフィシャルサイトには

1992年千葉県生まれ。

会話の出来ない重度の自閉症でありながら、パソコンおよび文字盤ポインティングにより、コミュニケーションが可能。

とプロフィールには書かれていて、あとは出版された本の案内と描かれたイラストの紹介でした。
それを見て、「そういう事かぁ~。」と心に落ちたものがありました。両親がどうで、どんな風に育ち、どんなサポートがあって、何を頑張って来たのか。そんなWikiペディア的な情報は不要なんだと思いました。

東田さんの言葉を聞き、生み出した文字を読む。うまく表現できませんが、無用な情報や先入観なんか必要ないよ・・という事なんだと感じました。ぜひサイトを見に行って、自分はどう感じるかを体感して欲しいと思います。

また、予備知識として、東田さんのYoutube動画もご紹介させて下さい。
自閉症の方がいかにコミュニケーションを取る事が難しいのか。それを理解するには一目瞭然の動画です。
「可哀想」とか「頑張ってる」とかいうものとして受け取るのではなく、これも個性であると理解するにはとても優秀な内容だと思います。
東田さんが愛用されている「文字盤ポインティング」も見る事ができます。障害は個性である。そんな多様な意識を持つことができます。

13歳の自閉症患者の心の中

この本を13才の東田さんが書かれたという前提で読んだ時、まず感じたのは「うちの子が13歳の時にこんなに自分と向き合えただろうか。」という事でした。
健常者と障害者で壁を作る気は全くありませんが、コミュニケーションをうまく取れない事が、内的な自分を探求するきっかけになっているんだと思いました。

心では「ごめんなさい」と思っていても伝えられない。
叩きたいと思っていないのに叩いてしまう。
返事をしたいのに言葉にならない。

それによって人を傷つけたり怒らせたりしてしまう。そしてその相手は自分を守ってくれる人。苦しくて辛い状況が想像できます。
「なんで?なんで?」
と自分を攻撃する少年は自分と向き合うしかなかったように思います。
13才の少年が書いた本というだけでも珍しいのに、さらに今まで知る事が難しかった自閉症の方の考えが分かるという観点からも非常に価値のある本です。
世界中で出版されベストセラーになったのもうなずけます。

発達障害

不器用な私たち

自分の思いと違う事を言ってしまう。思いが言葉にならない。状況を受け止める事ができない。大切な人に暴力をふるってしまう。

これ、自閉症の方だけではないように感じました。
ともすれば、私たち健常者と言われている人間の方も同じように大切な人を傷つけたり、思ってもいない事を話したりしているように思います。

例えば、大切な子どもを虐待してしまう。
大好きな恋人に暴言を吐いてしまう。
世界中で一番好きなお母さんを困らせてしまう。

また、人にマウントを取ってみたり、だましてみたり。
心の底では寂しくて怖くてどうしようもない不安を、正直に伝えられず表現方法を間違えてしまう。
「こっちを見て。」と素直に言えたらどんなに人間関係がシンプルになるでしょう。

私たちはちゃんと言葉が話せるのにとても不器用です。

普通でも自閉症でもどちらでもいい

東田さんは本書の中で
「自分が辛いのは我慢できます。しかし、自分がいる事で周りを不幸にしていることには、僕たちは耐えられないのです。」
と書かれています。

私はこの文章を読んだ時まるで自信を無くした子どもの声のように思いました。
伝えたくても伝え方が分からない。そもそもなぜそうしてしまうかも分からない。本当は笑っていて欲しいのに、自分には親の期待に応えられない。そんな葛藤が現れているとても苦しい文章に感じました。

そして
「自分を好きになれるなら、普通でも自閉症でもどちらでもいいです。」
という文章を読んで涙が止まらなくなりました。

たくさんの人に白い目で見られ、怖がられ嫌われ、軽蔑され迷惑をたくさんかけてきた東田さんが、普通でも自閉症でもどちらでもいいと言うのです。
自分を好きになるためには、大切な人が笑っていてくれることが大前提です。突然走り出したり、突然暴れだす東田さんが自分を好きになるには、相当な葛藤があったかと思います。

迷惑をかけるけれど笑顔でいて欲しい。その強い思いがコミュニケーションを取れるまでの訓練を続けられる原動力になったように思います。

うまく表現できませんが、私は障害をただの一つも持っていないのに何を甘えているんだろうと恥ずかしくなりました。

知れば納得できる

この本を読んで重度の自閉症の症状はとても大変なものだという事が少し理解できました。医学的な事はよく分かりませんが、自閉所の人は何も考えていないわけでもなければ、勉強できないわけでもないし、東田さんのように向上心を持ち挑戦したいとも思っている。

ただ少し、記憶の整理ができなかったり、時間の流れの受け止め方が違うだけ。そう理解できました。

分かりやすい事例があったのでご紹介します。
髪や爪を切るときに、本当は痛くないのに極度に怖がったり痛がったりするのは、過去の何かしらの記憶と結びついて痛いと感じてしまうんだ・・。
そんな内容が書かれていました。

全く別物かもしれませんが、私達でもレモンを見ただけで口が酸っぱくなることがあります。そういう事だと思えば、髪を切って痛がる自閉症の方がいても納得ができますね。

東田さんのお陰で、自閉症の方への親近感を持つことができたように思います。知らないから怖いと感じますが、知れば納得する事が出来ますね。

心が迷子の現代人

この本を読み終わって感じたのは
「社会で生きるという事は不感症になる事なのかも。」
という事でした。

感性や感覚、心の違和感。そんな心の奥のピュアな部分を、常識や世間体や競争で覆い隠し、何も感じないふりをしなければ生きられないのが現代社会なのではないかと思いました。

東田さんは「すぐに迷子になってしまうのはなぜですか?」という質問に対して
「自分の居場所を探さなければ、自分はこの世界でひとりぼっちになってしまうような錯覚に陥るのです。」
と答えられています。
まるで私たちと同じだと思いませんか?
もしかしたら私たちは、感覚を覆い隠してしまったが故に、体はそこにいても心が迷子になっている事に気が付いていないでいるのかもしれませんね。

もらった命を使い切る生き方

「僕たちが存在するおかげで、世の中の人たちが、この地球にとっての大切な何かを思い出してくれたら、僕たちは何となく嬉しいのです。」

最後にこう記された東田さんの思い。その何かを探すことで答えていけるのかもしれませんね。

東田さんの言葉はとても優しく鋭く深いです。しかもわずか13歳でこの本を執筆された偉業は尊敬しかありません。言葉を覚える事、それを表現する事。本当に大変だったと思います。

純粋に、東田さんに恥ずかしくない自分でいようと思いました。失敗したら恥ずかしい、人にどう思われるか不安。そんな全力を出さない生き方では顔向けできないですね。
五体満足で頂いた命。しっかり全部使い切って最期を迎えたいと思いました。

大きな忘れ物に気づかされる素晴らしい本です。
是非一度読んでみてくださいね。

という事で今日は東田直樹さんの「自閉症の僕が跳びはねる理由」という本をご紹介しました。
ではまた。

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